キケロの『共和国について』が関係する学問
政治哲学
『共和国について』は、正義、法、市民権、そして理想的な国家の形態といった、政治哲学の中心的なテーマを探求しています。キケロは、プラトンやアリストテレスといったギリシャの思想家の影響を受けながら、ローマの文脈におけるこれらの概念を考察し、共和政（res publica）という概念、すなわち公共のもの、公共の事業としての国家という概念を展開しました。
歴史学
『共和国について』は、ローマ史、特に共和政の成立と発展に関する重要な資料です。キケロは、ローマの歴史上の出来事や人物を対話の中で引用し、彼の政治哲学の具体例として提示しています。
修辞学
キケロは、古代ローマを代表する雄弁家であり、修辞学者としても知られていました。『共和国について』は、対話という形式で書かれており、登場人物たちの弁論を通じて、彼の修辞学の技法が遺憾なく発揮されています。特に、スcipio Africanus や ガイウス・レピドゥスといった歴史上の人物がそれぞれの立場から自らの政治思想を雄弁に語る場面は、読者に強い印象を与えます。
古典文学
『共和国について』は、古代ローマ文学、特にラテン語散文の傑作として位置づけられています。キケロの洗練された文体、巧みな比喩、そして歴史や哲学に関する深い知識は、後世の作家たちに多大な影響を与えました。
哲学史
『共和国について』は、古代ギリシャ・ローマの政治思想と、その後の西洋政治思想の展開を理解する上で欠かせない文献です。ストア哲学の影響を受けたキケロの自然法の概念は、中世のキリスト教思想や近代の自然権論にも影響を与えました。