## ガルブレイスの新しい産業国家の周辺
ガルブレイスと彼の時代
ジョン・ケネス・ガルブレイス(John Kenneth Galbraith、1908-2006)は、20世紀を代表する経済学者の一人です。カナダ生まれで、ハーバード大学で長年教鞭をとりました。彼は経済学の枠組みを超えて、社会、政治、文化にも鋭い分析を加え、その著作は専門家だけでなく、一般の人々にも広く読まれました。
「新しい産業国家」の出版
ガルブレイスの代表作の一つである『新しい産業国家』(The New Industrial State)は、1967年に初版が出版されました。この時代は、第二次世界大戦後の経済成長が一段落し、資本主義経済の新たな局面が現れ始めた時期と重なります。
「新しい産業国家」の内容
本書の中でガルブレイスは、現代経済における大企業の巨大な力を分析し、「テクノ構造」(technostructure)という概念を提唱しました。テクノ構造とは、企業の意思決定を支配する、技術者、管理者、専門家などの集団を指します。彼は、現代社会では、市場メカニズムよりも、このテクノ構造が経済活動を支配するようになっていると主張しました。
「新しい産業国家」への評価
「新しい産業国家」は、出版当時大きな反響を呼び、賛否両論の議論を巻き起こしました。一部の経済学者からは、市場メカニズムを軽視しすぎているという批判も受けましたが、現代資本主義の抱える問題点を鋭く指摘したという点で高く評価されています。
「新しい産業国家」の影響
本書は、その後の経済学、経営学、社会学などの分野に大きな影響を与えました。特に、企業の社会的責任や、技術革新と社会の関係を考える上で、重要な視点を提供しています。
現代社会における「新しい産業国家」
今日、情報技術の進展やグローバリゼーションの進展により、企業の活動はますます複雑化し、巨大化しています。ガルブレイスが「新しい産業国家」で描いた世界は、現代社会においても重要な示唆を与え続けています。