## ガルブレイスの新しい産業国家と人間
ガルブレイスの主張
ジョン・ケネス・ガルブレイスは、1967年に発表した著書『新しい産業国家』の中で、現代資本主義経済における企業の巨大化と、それがもたらす社会への影響力を分析しました。彼は、従来の経済学が前提とする「消費者主権」の概念を否定し、現代社会では巨大企業が生産と消費の両面において主導権を握る「計画システム」を構築していると主張しました。
テクノストラクチャーと計画システム
ガルブレイスは、現代企業において意思決定を担うのは、株主や経営者個人ではなく、高度な専門知識と情報を有する技術者、管理者、専門家からなる「テクノストラクチャー」であると指摘しました。そして、このテクノストラクチャーが市場における不確実性を排除し、企業の安定的な成長を追求するために、生産、価格、消費に関する計画的な管理を行っていると主張しました。具体的には、広告やマーケティングを通じて消費者の需要を創出し、製品のライフサイクルを管理することで計画的な消費を促していると説明しました。
企業の社会的責任と国家の役割
ガルブレイスは、巨大企業が社会に及ぼす影響力の大きさから、企業は利潤追求だけでなく、社会的な責任を果たす必要性を説きました。具体的には、環境保護、教育、文化振興など、市場メカニズムだけでは十分に供給されない公共財への貢献を求めました。 また、巨大企業の力に対抗するためには、国家が積極的な役割を果たす必要性も指摘し、所得再分配や公共投資を通じて社会のバランスを保つべきだと主張しました。