## ガルブレイスの不確実性の時代の評価
###
出版と背景
「不確実性の時代」は、カナダ生まれのアメリカの経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスによって執筆され、1977年に出版されました。本書は、経済学、社会学、政治学を融合させ、20世紀初頭から1970年代までの西洋社会、特にアメリカ社会における経済思想と政策の変遷を分析しています。
###
主要な論点
ガルブレイスは、本書において以下のような主要な論点を展開しています。
* **従来の経済学への批判:** 古典派経済学と新古典派経済学を基盤とする従来の経済理論は、現実の経済を適切に説明できていないと批判しています。彼は、市場メカニズムの万能性を強調するこれらの理論は、企業の巨大化や政府の役割拡大といった20世紀の資本主義経済における変化を捉えきれていないと主張します。
* **企業の力と計画経済:** 現代資本主義において、巨大企業は市場を支配し、価格や生産量をコントロールする力を持つようになっていると指摘します。そして、この企業による計画経済は、従来の市場メカニズムに基づく経済理論では説明できないと主張します。
* **テクノ構造と社会への影響:** 巨大企業における技術者や専門家集団である「テクノ構造」は、企業の意思決定において重要な役割を果たし、社会全体に大きな影響力を持つようになっていると分析しています。
* **不確実性の増大:** 経済システムの複雑化や技術進歩の加速により、未来予測が困難になり、不確実性が増大していると指摘します。この不確実性は、従来の経済理論では扱いきれない問題を生み出していると主張します。
###
評価と影響
「不確実性の時代」は、出版当時、大きな反響を呼びました。専門家からは、その学術的な厳密さや独創性を評価する声がある一方で、従来の経済学の枠組みから逸脱しすぎているという批判も寄せられました。