## ガルブレイスの不確実性の時代の表現
不確実性の時代とは
「不確実性の時代」とは、経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスが1977年に発表した著書『不確実性の時代 (The Age of Uncertainty)』の中で用いた表現です。この著書は、経済学の歴史を振り返りながら、資本主義社会における不確実性と、それが人々の生活や社会に与える影響について考察したものです。
ガルブレイスが「不確実性の時代」と呼んだ時代背景
ガルブレイスは、1970年代の世界経済が、以下のような特徴を持つ「不確実性の時代」に突入したと分析しました。
* **戦後経済の安定成長の終焉**: 第二次世界大戦後、世界経済は順調な成長を遂げてきましたが、1970年代に入ると、オイルショックやスタグフレーション（不況下のインフレーション）に見舞われ、経済の不安定化が進みました。
* **国際政治の不安定化**: 冷戦の激化、ベトナム戦争の泥沼化など、国際政治の緊張が高まり、世界経済の先行きにも大きな影を落としました。
* **経済理論の限界**: 従来の経済学は、安定成長を前提としたものが多く、激動する経済状況を説明しきれなくなってきていました。
ガルブレイスの表現における「不確実性」の意味
ガルブレイスが「不確実性」という言葉で表現したのは、単なる経済的な予測の難しさだけではありませんでした。彼は、以下のような広範な不確実性が、人々の意識や社会システムに影響を与えていると指摘しました。
* **未来予測の困難さ**: 経済の不安定化や技術革新の加速により、将来の予測が困難になり、人々の将来に対する不安が増大しました。
* **伝統的な価値観の崩壊**: 産業構造の変化や情報化社会の進展に伴い、従来の社会規範や価値観が揺らぎ、人々の行動様式や倫理観にも変化が生じました。
* **社会の複雑化**: 経済活動のグローバル化や情報量の増大により、社会システムが複雑化し、人々の間で情報や価値観の共有が難しくなりました。
これらの不確実性は、人々に不安や不信感、無力感などを抱かせ、社会に閉塞感をもたらすとガルブレイスは懸念しました。