## ガリレオ・ガリレイの「新科学対話」の思考の枠組み
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対話形式による真理の探求
「新科学対話」は、**サルヴィアチ**、**サグレド**、**シンプリチオ**という3人の登場人物による対話形式で書かれています。
* **サルヴィアチ**はガリレオ自身の考え方を代弁する人物で、新しい科学的思考を主張します。
* **サグレド**は教養のある一般市民で、偏見を持たずに議論に参加し、サルヴィアチの意見に賛同することが多いです。
* **シンプリチオ**はアリストテレスの自然学を盲信する学者で、伝統的な考え方に固執します。
ガリレオは、この対話形式を用いることで、一方的に自説を主張するのではなく、読者を議論に参加させ、自らの頭で考えることを促しています。また、登場人物たちの意見の対立を通して、当時の学問における問題点や新しい科学的思考の妥当性を浮き彫りにしています。
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数学と実験に基づく科学的方法
「新科学対話」では、単なる思弁的な議論ではなく、**数学**と**実験**に基づいた科学的方法が重視されています。
サルヴィアチは、自然現象を理解するためには、まず数学的な分析を行い、その上で実験によって仮説を検証することが重要だと主張します。
例えば、落体の法則に関する議論では、アリストテレスの主張を論理的に反駁するとともに、斜面実験などを通して自説の正当性を示しています。
これは、それまでの思弁的な自然哲学とは一線を画す、近代科学の基礎となる方法論です。
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運動法則への新たな視点
「新科学対話」では、**運動法則**に関する議論が大きな部分を占めています。
アリストテレスは、物体が運動するのは、その物体に固有の「場所」へ移動しようとする自然な傾向によるものと考えていました。
しかし、ガリレオは、慣性の法則や落体の法則などを提唱し、物体の運動は外力によって変化すると主張しました。
これは、運動に対するそれまでの常識を覆す、画期的な視点でした。
これらの要素が組み合わさり、「新科学対話」は、単なる物理学書を超えた、近代科学の出発点を示す記念碑的な著作となっています。