## カーライルのフランス革命史の対称性
フランス革命史における対称性の考察
トーマス・カーライルの『フランス革命史』は、その壮大なスケールとドラマティックな描写で知られています。 しかし、この作品の魅力は、単に歴史的出来事を生き生きと描き出すだけではありません。 カーライルは、フランス革命という混沌とした時代を、ある種の対称性を持ちながら展開する物語として捉え、それを巧みな構成と文体によって表現しています。
具体的な対称性の例
『フランス革命史』における対称性は、さまざまなレベルで確認できます。 まず、構成面では、バスティーユ襲撃から始まる革命の勃発期と、ロベスピエールの失脚とテルミドールの反動を描く終盤とが、一種の対比構造をなしている点が挙げられます。 初期の熱狂と混乱は、後期の恐怖政治とそれに続く反動と対をなし、革命の持つ両義的な側面を浮かび上がらせます。
人物描写における対称性
人物描写においても、対称性は重要な役割を果たしています。 例えば、初期の革命を指導したミラボーと、恐怖政治を主導したロベスピエールという二人の指導者は、ともに傑出した才能とカリスマ性を持ちながら、最終的には革命の波に飲み込まれていくという点で対照的な存在として描かれています。 彼らの栄光と没落は、革命の持つ力と残酷さを象徴的に示すものとなっています。
象徴的なイメージの対称性
さらに、カーライルは象徴的なイメージを繰り返し用いることで、作品の対称性を強調しています。 例えば、「渦巻く」「奔流」「嵐」といった言葉は、革命の激動と混乱を表現するために繰り返し用いられ、物語全体に統一感を与えています。 また、光と影のコントラストも効果的に使われており、希望に満ちた革命の理想と、それが孕む暴力と破壊の現実との対比を際立たせています。
カーライルの意図
これらの対称性は、単なる偶然ではなく、カーライルの意図的な創作の結果であると考えられます。 彼は、フランス革命を、単なる一連の出来事としてではなく、人類の歴史における必然的なドラマとして捉えていました。 そして、そのドラマをより効果的に表現するために、対称性という手法を用いたのです。