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カントの純粋理性批判の構成

## カントの純粋理性批判の構成

カントの主著『純粋理性批判』は、大きく分けて以下の二つの部分から構成されます。

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序論

まず、「序論」では、理性批判という試みの目的、方法、全体像が提示されます。カントはここで、人間の認識能力である理性には、誤謬に陥ることなく真理を認識できる領域と、限界があり誤謬に陥る危険性を持つ領域があると主張します。そして、理性自身の批判を通して、理性に可能な認識の領域と限界を明らかにすることが本書の目的だと宣言します。

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第一部 超越論的先験学

「第一部 超越論的先験学」は、さらに「先験的感性論」と「先験的論理学」の二つに分かれます。

#### **1. 先験的感性論**

「先験的感性論」では、感性、すなわち我々が外界からの感覚的印象を受ける能力について考察されます。カントは、時間と空間は外界から経験的に与えられるものではなく、人間の感性に先天的、アプリオリに備わった認識の形式であると主張します。時間と空間は、我々が感覚的印象を受け取るための枠組みとして機能し、これによって我々は外界の事物を受容し、認識することが可能になるとされます。

#### **2. 先験的論理学**

「先験的論理学」では、悟性、すなわち概念を用いて思考する能力について考察されます。悟性は、感覚的印象を概念のもとで統合し、対象についての認識を成立させる働きを持ちます。カントは、悟性にも先天的、アプリオリに備わった認識の形式である「純粋悟性概念」があると主張します。純粋悟性概念は、12の範疇として体系化され、我々が対象を認識する際の思考の枠組みとして機能するとされます。

「先験的論理学」は、さらに「分析論」と「弁証論」に分かれます。

##### **(1) 分析論**

「分析論」では、悟性の働きと純粋悟性概念の機能が詳しく分析され、これらの働きによって経験的な認識が成立することが示されます。カントは、経験的認識は、感性による受容と悟性による思考の協働によって成立すると考えます。

##### **(2) 弁証論**

「弁証論」では、悟性が経験の領域を超えて形而上学的な問題(例えば、世界、魂、神など)を認識しようとするとき、不可避的に生じる矛盾(アンチノミー)が分析されます。カントは、悟性が純粋悟性概念を経験の領域を超えて適用しようとすることによって、このような矛盾が生じると考えます。

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第二部 超越論的方法論

「第二部 超越論的方法論」では、理性批判によって得られた成果に基づき、形而上学の領域における理性の正しい使用方法が論じられます。カントは、形而上学はもはや認識の対象ではなく、倫理や宗教の基礎として実践的な意義を持つ領域であると主張します。

以上が、『純粋理性批判』の基本的な構成です。

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