## カントの純粋理性批判の普遍性
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認識の普遍性
カントは、我々が持つあらゆる経験的な認識は、それが真であると主張するためには、普遍的かつ必然的なものでなければならないと論じました。つまり、ある認識が特定の時間に特定の人だけに当てはまるものであれば、それは真の認識とは言えないということです。
例えば、「太陽は東から昇る」という命題は、経験的に正しいように見えますが、地球上の特定の場所にいる人にとっては真実であっても、北極点にいる人にとっては真実ではありません。
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超越論哲学としての普遍性
カントは、このような普遍的で必然的な認識は、経験からではなく、人間の理性それ自体に由来すると考えました。彼はこのような理性の先天的な構造を明らかにすることを「超越論哲学」と呼びました。
「純粋理性批判」においてカントは、時間や空間、因果律といった概念は、経験に先立って我々の理性に備わっている「純粋理性」の働きによって成立していると主張しました。これらの概念は、経験の内容とは独立に、経験を可能にするための枠組みを提供するものであり、そのため、あらゆる経験に普遍的に適用されます。
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批判哲学としての限界
しかし、カントは同時に、人間の理性には限界があることも指摘しました。我々は、純粋理性の働きによって経験を構成する概念を持つ一方で、その概念を用いて世界の真の姿、すなわち「物自体」を認識することはできません。
カントは、理性の適用範囲を経験世界に限定することで、形而上学的な知識の探求に終止符を打とうとしました。これは、人間の認識能力に対する批判的な考察に基づいており、彼が「批判哲学」と呼ぶ立場です。