## カントの純粋理性批判からの学び
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認識の限界
カントは、「純粋理性批判」において、人間の認識能力には限界があると主張しました。 我々が経験を通して得られる知識は、物自体ではなく、我々の感性と悟性というフィルターを通して構成された現象に過ぎません。 物自体の認識は、人間の認識能力を超越しており、不可能であるとカントは論じます。
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感性と悟性
カントは、人間の認識能力を感性と悟性の二つに分けました。感性は、時間と空間という形式を通して外界からの感覚データを受け取る能力です。悟性は、感性によって与えられた素材を整理し、概念を用いて思考する能力です。 認識は、感性と悟性の協働によって成立します。
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超越論的観念論
カントの認識論は、超越論的観念論と呼ばれます。これは、我々が認識できるのは現象だけであり、物自体は認識できないという立場です。 しかし、物自体を完全に否定するのではなく、現象の根底に物自体が存在することを前提としています。
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先天的総合判断
カントは、人間の認識には、経験に依存しない先天的要素があると主張しました。 先天的総合判断は、経験に依存せず、新たな知識を付け加える判断です。 例えば、「7+5=12」という数学的命題や、「すべての事象には原因がある」という因果律は、先天的総合判断です。
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理性と antinomie
カントは、人間の理性は、経験の領域を超えて、世界全体の起源や目的、魂の存在といった形而上学的な問題を解明しようとすると矛盾に陥ると指摘しました。
これらの問題は、理性にとって antinomie(二律背反)を引き起こすものであり、解決不可能であると論じます。
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実践理性
「純粋理性批判」では主に認識能力について論じられていますが、カントは人間の理性には、認識能力である理論理性と、道徳や行為を司る実践理性があると考えました。
理論理性が限界を持つ一方で、実践理性は自由と道徳法則に基づいて行為することを可能にする力であるとカントは主張しました。