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カントの実践理性批判の表象

カントの実践理性批判の表象

表象

カントは『純粋理性批判』において、我々が認識する対象は、物自体ではなく、我々の感性と悟性によって構成された「現象」であると主張しました。この現象を構成する要素として重要なのが「表象」です。表象とは、広義には意識の内容一般を指しますが、『実践理性批判』の文脈では、主に感性的な対象認識と関わる概念として扱われます。

感性と表象

カントによれば、我々は外界から感覚を通して様々な素材を受け取ります。この素材が「感覚的印象」であり、表象の第一歩を形成します。しかし、感覚的印象だけでは、対象を認識したことにはなりません。これらの印象を時間と空間という形式のもとで秩序づけ、統合することによって初めて、対象は我々にとって認識可能なものとなります。

表象と概念

『実践理性批判』では、道徳法則のような実践的な原理を扱うため、表象は主に感性的な認識に関わる概念として扱われます。しかし、表象は悟性による概念の働きとも密接に関係しています。悟性は、感性によって与えられた表象をさらに高次の概念へと統合していく働きを持ちます。

表象と道徳法則

『実践理性批判』の中心テーマである道徳法則は、感性的な経験から導き出されるものではなく、理性それ自体に由来するものです。そのため、道徳法則は表象のような感性的な概念とは区別されます。しかし、人間は感性的な存在でもあるため、道徳法則を行為へと移すためには、表象を伴う具体的な状況において、どのように行為すべきかを判断する必要があります。

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