Skip to content Skip to footer

カントの実践理性批判の普遍性

## カントの実践理性批判の普遍性

###

実践理性と普遍性

カントにとって、実践理性は普遍的な道徳法則を認識し、それに従って行為することを可能にする人間理性の一面です。この道徳法則は、個々の状況や欲求、結果に左右されることなく、すべての人間にとって無条件に妥当するものであり、「義務」という概念と密接に結びついています。

###

定言命法と普遍化可能性

カントは、道徳法則を「定言命法」という形で表現します。定言命法は、仮言命法のように、「もし~ならば~しなさい」といった条件付きの命令ではなく、「~しなさい」という無条件の命令です。そして、この定言命法を規定するのが「普遍化可能性」の原理です。

###

普遍化可能性の原理

普遍化可能性の原理とは、「あなたの行為の格率(主観的な行為の原理)が、あなたの意志によって同時に普遍的な法則となることを望みうるかどうかによって行為せよ」というものです。 つまり、ある行為が道徳的に許されるためには、その行為の根底にある格率が、すべての人によって同時に受け入れられ、矛盾なく実行可能なものでなければならないということです。

###

普遍性の吟味

カントは、普遍化可能性の原理に基づいて、具体的な行為の道徳性を吟味する方法を提示しています。 例えば、困窮しているときに嘘をつくという行為を考えてみましょう。この行為の格率は、「困窮しているときは嘘をついてもよい」というものです。しかし、もしこの格率が普遍的な法則となれば、誰も約束を信じなくなり、社会は成り立たなくなってしまいます。これは、普遍化可能性の原理に反するため、困窮しているときでも嘘をついてはいけないという結論になります。

###

普遍性の意義

カントの道徳哲学において、普遍性は極めて重要な概念です。それは、道徳法則が特定の文化や伝統、個人の主観に依存するのではなく、理性を持つ存在である人間すべてに共通するものであることを示しているからです。普遍化可能性の原理は、私たちが自分の行為の道徳性を客観的に判断するための基準を提供し、恣意的な道徳判断を防ぐ役割を担っています。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5