Skip to content Skip to footer

カントの実践理性批判とアートとの関係

## カントの実践理性批判とアートとの関係

###

美的判断と道徳判断

カントは『判断力批判』において美的判断と道徳判断の類似性について論じていますが、『実践理性批判』においてもアートと道徳との関連を示唆する記述が見られます。

『実践理性批判』の中でカントは、道徳法則は人間の感性には根拠を持たず、理性のみがその根拠となることを主張します。道徳法則は「無条件的」であり、いかなる外的要因や利害からも独立しているためです。

この道徳法則の無条件性と、美的判断における「無関心性」との類似性を指摘することができます。『判断力批判』においてカントは、美的判断は対象の有用性や快楽といった個人的な関心に基づくのではなく、対象そのものから得られる「無関心な快」に基づくと述べています。

###

道徳的理念と芸術的表現

『実践理性批判』においてカントは、道徳法則は理性によって認識される「義務」として現れると同時に、「最高善」という理念としても提示されると述べています。最高善とは、徳と幸福が完全に一致した理想的な状態を指します。

この最高善という理念は、直接的に経験可能なものではなく、理性によってのみ考えられるものです。芸術作品は、この種の抽象的な理念を感覚的に表現する役割を担うことができます。

例えば、崇高な美を表現した芸術作品は、私たちに感覚を超えた何か、無限なもの、あるいは道徳的な理念を想起させる可能性があります。このように、芸術は道徳的な理念を感覚的に表現することで、私たちが道徳法則についてより深く理解する助けとなる可能性があります。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5