カントの判断力批判を読む
美的判断の分析
カントは本書において、理性や道徳の領域とは異なる、「判断力」の働きに焦点を当てています。特に、美的判断、すなわち美や崇高に対する私たちの判断がどのように成り立つかを詳細に分析しています。
自然目的の概念
自然界の事物について、あたかもそれが何らかの目的を持って存在しているかのように感じることがあります。カントはこのような見方を「自然目的」と呼び、それが私たちの判断力にどのように関わるのかを考察しています。
美的判断の主観性と普遍性
美の判断は主観的なものでありながら、他者にも同意を求める普遍性を備えているという、一見矛盾する側面を持っています。カントはこの難題に対し、美的判断が「共通感覚」に基づいているという独自の理論を展開します。
崇高の経験
美とは異なる、人間の精神に圧倒的な力を及ぼす「崇高」についても考察がなされます。カントは、自然の圧倒的な大きさや力強さといった、私たちを畏怖させるような経験を通して、人間の理性と想像力の限界が意識され、道徳的な感情が呼び起こされると論じます。