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カントの判断力批判の表象

## カントの判断力批判の表象

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表象とは

カントにおいて**表象** (Vorstellung) とは、広義には心の中に現れるあらゆる心的内容を指します。これは感覚、感情、思考など、意識に上るものすべてを含みます。カントは『純粋理性批判』において、「私はこの名辞[表象]を、対象の意識であるところのもの、言い換えればあらゆる種類の直観、概念、さらには知覚や感覚までも包含する名辞として用いる」と述べています (A19=B33)。

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表象の分類

カントは表象を様々な観点から分類しています。まず、『純粋理性批判』では、表象の起源に基づき、**感性** に由来する**直観** (Anschauung) と、**悟性** に由来する**概念** (Begriff) に区別しています。直観は感覚を通して与えられる具体的な個物の表象であり、概念は複数の表象に共通する一般的特徴を抽象的に捉えたものです。

さらに、『判断力批判』においてカントは、**反省的判断力** の働きを論じるにあたり、表象を**規定された表象** と**規定されていない表象** に区別します。規定された表象とは、既に概念によって捉えられ、その意味内容が確定している表象です。一方、規定されていない表象とは、まだ概念に包摂されておらず、その意味内容が未決定な表象を指します。

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表象と認識

カントは、人間の認識は**感性**、**悟性**、**理性** という三つの能力の協働によって成立すると考えました。感性は外界からの刺激を受け取り、それを**感覚的直観** として捉えます。悟性はこれらの直観を**概念** によって整理し、統一することで認識を成立させます。理性は悟性を超えて、無条件者や全体といった概念を用いて世界の究極的な根拠を追求します。

カントにおいて表象は、認識の素材となるだけでなく、認識の成立過程そのものにおいても重要な役割を果たします。感性は表象を直観として与え、悟性は表象を概念によって結びつけます。そして、理性は表象を媒介として世界の究極的な根拠へと向かいます。このように、表象はカント哲学において認識のあらゆる段階に関与する重要な概念です。

**注記:** 本文はカントの判断力批判における表象について、推測を排し、確実に記述することを心がけています。ただし、カント哲学は難解であり解釈の余地も多いため、これが唯一絶対の解釈ではないことをご理解ください。

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