Skip to content Skip to footer

カントの判断力批判の入力と出力

## カントの判断力批判の入力と出力

###

入力

カントの『判断力批判』における主要な入力は、先行する二つの批判書、『純粋理性批判』と『実践理性批判』で確立された認識論と道徳哲学の枠組みです。

* **『純粋理性批判』**: この著作でカントは、人間の認識能力の限界を明らかにし、認識の対象となるのは、時間と空間という感性の形式に従って構成された現象界のみであると論じました。物自体は、我々の認識能力を超越しており、認識することはできません。
* **『実践理性批判』**: この著作では、道徳法則を純粋理性から導き出し、人間の自由と自律を基礎付けました。道徳法則は、仮言命法ではなく、無条件に服従すべき定言命法として提示されます。

###

出力

『判断力批判』は、上記の二つの批判書で扱われなかった、美的判断と目的論的判断という二つの重要なテーマを扱っています。

* **美的判断**: カントは、美的判断を、対象の快楽的な感覚に基づく主観的な判断であるとしながらも、単なる個人的な好みとは異なる普遍性を持つと主張します。美は、対象の概念や用途とは無関係に、対象の形式から直接的に生じるものであり、その際に理性と想像力が調和した状態が生まれます。
* **目的論的判断**: 自然界の事物や現象には、あたかも目的を持って作られたかのような合目的性が認められます。カントは、この合目的性を、人間の認識能力の働きかけによって生じるものと捉え、自然を理解するための原理として「目的論的判断」を導入します。ただし、目的論は、自然そのものに内在するものではなく、あくまで人間の認識のための原理として位置づけられます。

『判断力批判』は、美的判断と目的論的判断を通して、自然と自由、感性と理性、現象界と物自体といった二元論的な対立を媒介し、統一的な認識体系を構築しようと試みていると言えるでしょう。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5