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カントの判断力批判と時間

## カントの判断力批判と時間

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時間と超越論的感性論

カントの哲学において、時間は空間と並んで超越論的感性論の二大柱を成す重要な概念です。カントは『純粋理性批判』において、時間と空間は私たちの外に客観的に存在するものではなく、人間の認識能力を規定するアプリオリな感性形式であると主張しました。言い換えれば、時間と空間は私たちが外界を認識する際の枠組みとなるものであり、感覚的経験を可能にするための必要条件なのです。

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時間と内感性

時間はいかなる感覚的経験にも先立って存在し、すべての表象の基礎となります。カントは時間を「内感性」の形式と呼びます。内感性とは、私たち自身の内的状態、すなわち意識や思考を認識する能力のことです。時間はこの内感性の形式として、私たち自身の内的な経験を秩序づけ、継起するものとして捉えさせます。

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時間と想像力

『判断力批判』において、カントは美的判断、特に崇高の判断に時間認識が深く関わっていることを明らかにします。崇高の対象は、その巨大さや力強さによって私たちの想像力を圧倒し、感覚的な把握の限界を超えさせます。このとき、私たちの心は時間的な無限性へと向かっていきます。

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時間と理性

崇高の対象に直面したとき、私たちの心は感覚的な把握の限界と同時に、理性が持つ理念、すなわち無限性や絶対性への希求も感じます。時間はこの感覚的な限界と理性の理念との橋渡しをするものとして機能します。時間はそれ自体として無限に続くものであり、感覚的な把握を超えた理性の理念を時間的に表象することを可能にするからです。

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時間の主観性と客観性

カントは時間を主観的な感性形式として位置づけますが、同時にそれが客観的な認識の基礎となることも認めています。時間形式はすべての表象に共通するものであり、個々の主観を超えた普遍性を持つからです。この時間の客観性によって、私たちは自然現象を因果関係に基づいて理解することが可能になります。

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