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カントの人倫の形而上学・法論と人間

カントの人倫の形而上学・法論と人間

カントの道徳哲学における「人倫の形而上学」の位置づけ

イマヌエル・カントの道徳哲学において、1785年に出版された『人倫の形而上学の基礎づけ』と1797年の『道徳の形而上学』は中心的な位置を占めます。特に後者は、前半の「法論」と後半の「 Tugendlehre (徳論)」の二部構成となっており、カントの道徳哲学の体系を理解する上で欠かせない著作です。

「法論」における人間の自由と道徳法則

「法論」においてカントは、人間の行為の根底にある原理を探求します。人間は現象界の一部として自然法則に支配されていると同時に、理性を持つがゆえに自律的な存在、すなわち自由意志を持つ存在であるとカントは考えます。

そして、この自由意志に基づいて行為を決定する原理、すなわち行為の格率を普遍的な道徳法則に一致させることが道徳的な行為であると主張します。これが有名な「定言命法」であり、その定式化として「自分の意志の格率が、いつでも同時に普遍的な立法の原理となりうるように行為せよ」という表現が提示されます。

「人倫」としての他者と社会

カントは、人間は単独で存在するのではなく、他者との関係性の中で生きていることを重視します。定言命法に従って行為するということは、自己のみならず、他者を単なる手段として扱うのではなく、目的を持つ目的自体として扱うことを意味します。

この考えに基づき、カントは「嘘をつかない」「約束を守る」「他人を助ける」といった義務を導き出します。これらの義務は、個人としての自由と他者との共存を両立させるための倫理的な指針となるものです。

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