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カントの『判断力批判』とアートとの関係

## カントの『判断力批判』とアートとの関係

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美的判断

カントは『判断力批判』において、美的判断、すなわち美や崇高についての判断を考察しています。カントにとって、美的判断は、対象の快・不快に関係するものの、単なる感覚的なものではなく、以下の特徴を持つものでした。

まず、美的判断は**利害関心から独立している**とされます。これは、ある対象が美しいかどうかは、その対象が我々にとって役に立つかどうか、あるいは道徳的に正しいかどうかとは無関係に判断されるということです。美しい絵画を見たときに感じる快は、その絵画を所有したいという欲望や、その絵画が倫理的に正しいメッセージを伝えているかどうかとは別の次元で生じるものです。

次に、美的判断は**主観的でありながらも普遍性を志向する**という特徴があります。これは、美の判断は個々の主観に基づくものであると同時に、すべての人に同意を求めるような普遍的な妥当性を持つとされるということです。例えば、ある人が夕焼けを見て美しいと感じたとき、その感情はあくまでその人自身の主観的なものです。しかし、その人は同時に、他の人もまた同じ夕焼けを見て美しいと感じるだろうと期待します。

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天才

美的判断と密接に関係するのが、芸術作品の創作において中心的な役割を果たすとされる**天才**の概念です。カントは、天才とは「模倣によってではなく、自然が芸術に与えた規則によって作品を創作する才能」であると定義しています。

カントによれば、天才は既存の規則を模倣するのではなく、それ自体としては意識化されない自然の働きによって、新しい規則を生み出す存在です。そして、天才が創作した芸術作品は、その規則を通じて他の人の想像力と悟性とを調和させ、美的判断を可能にするのです。

重要なのは、カントにとって芸術は単なる技術や技巧の問題ではなく、天才の自由な想像力と、それが生み出す美的アイデアにこそ本質があるということです。

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