Skip to content Skip to footer

カントの「実践理性批判」の秘密

## カントの「実践理性批判」の秘密

###

「純粋理性批判」と「実践理性批判」の関係性

「実践理性批判」は、カントの三大批判書の一つであり、「純粋理性批判」で展開された認識論を土台に、道徳や自由といった実践的な領域の探求を試みています。ただし、「実践理性批判」は単なる「純粋理性批判」の応用編ではありません。「純粋理性批判」では、人間の認識能力の限界を明らかにし、形而上学的な知識への到達を不可能と断じました。しかし、「実践理性批判」においてカントは、理性には認識能力を超えた、実践的な側面があると主張します。

###

道徳法則と自由

カントは、「実践理性批判」において、人間の理性の中にアプリオリに存在する道徳法則を明らかにしようと試みます。この道徳法則は、「汝の意志の格率が、つねに同時に普遍的な立法の原理となるように行為せよ」という「定言命法」として表現されます。カントによれば、人間はこの道徳法則に従って行動しなければならないという義務を負っています。

###

自由の概念

道徳法則に従うためには、人間は自由でなければなりません。しかし、「純粋理性批判」においてカントは、現象界における人間の行為はすべて因果律に支配されていると論じました。そこでカントは、「実践理性批判」において、現象界とは異なる「物自体」の領域を想定し、人間は物自体としては自由な存在であると主張します。

###

信仰の必要性

「実践理性批判」においてカントは、道徳的な行為の究極的な目的として、「最高の善」を提示します。最高の善とは、徳と幸福が一致した状態です。しかし、この世においては、道徳的に行動したからといって必ずしも幸福になれるとは限りません。そこでカントは、魂の不死と神の存在を「実践的要請」として要請します。これらの要請は理論的に証明することはできませんが、道徳法則に従って行動するためには、これらの要請を「信仰」として受け入れる必要があるとカントは主張します。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5