Skip to content Skip to footer

カルヴィーノの見えない都市の構成

カルヴィーノの見えない都市の構成

マルコ・ポーロとフビライ汗の対話

『見えない都市』は、ヴェネツィアの商人マルコ・ポーロが、元朝の皇帝フビライ汗に、旅した都市の物語を語るという枠物語の形をとっています。二人の対話は、各章の冒頭と末尾に置かれ、物語に統一感を与えています。

九つのテーマと都市の分類

本書には全部で55の都市が登場しますが、それらは「都市と記憶」「都市と欲望」「都市と記号」「都市と薄いもの」「都市と交易」「都市と眼」「都市と名前」「都市と死者」「都市と空」という九つのテーマに分類され、各テーマに属する都市が順次語られていきます。

対称的な構造

55の都市は、中央に位置する都市を挟んで対称的に配置されています。すなわち、最初のテーマ「都市と記憶」には10個の都市が登場し、最後のテーマ「都市と空」にも10個の都市が登場します。同様に、二番目のテーマ「都市と欲望」と八番目のテーマ「都市と死者」は、それぞれ5つの都市から成り立っています。

数字の遊び

本書の構成には、数字の遊びも隠されています。例えば、55の都市は、1から10までの数の和と等しくなります。また、各テーマに属する都市の数は、フィボナッチ数列(1, 1, 2, 3, 5, 8…)と関連付けられています。

チェス盤のような構造

これらの要素を組み合わせることで、『見えない都市』は、あたかもチェス盤のような精緻な構造を持つことが分かります。マルコ・ポーロの語る都市の物語は、単なる旅行記ではなく、都市の本質、そして人間存在そのものを問う壮大な試みとして、複雑に織り合わされているのです。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5