カルヴィーノの見えない都市の案内
マルコ・ポーロの旅路
「見えない都市」は、13世紀のヴェネツィア商人マルコ・ポーロが、壮大な都を築いたモンゴルの皇帝クビライ・カーンに、訪れた様々な都市の物語を語るという枠物語で構成されています。ポーロは、東洋の果てにあるカーンの宮廷で、皇帝を楽しませるために、想像を絶する都市の数々を言葉で描き出していきます。
都市の分類と構造
55の都市は、それぞれが独自のテーマや特徴を持ち、11のテーマに基づいて9つのパートに分類されています。各パートは、さらに2つの都市の記述で挟まれています。例えば、「都市と記憶」のパートには、過去の記憶が色濃く残る都市や、逆に記憶が失われていく都市が登場します。
都市の描写
ポーロが語る都市は、現実には存在しない架空の都市です。彼は、都市の構造や建築、住民の生活、習慣、歴史、伝説などを、詩的で幻想的な言葉で描写します。しかし、その描写は単なる空想ではなく、現実の都市が抱える問題や人間の普遍的な欲望、記憶、想像力などを反映しています。
解釈の多様性
「見えない都市」は、一義的な解釈を許さない作品です。読者は、ポーロの語る都市を、現実の都市のメタファーとして解釈したり、人間の心の内面を投影したものとして捉えたりすることができます。また、都市の描写を通して、歴史や文化、社会構造など、様々なテーマについて考えることもできます。