カルヴィーノの木のぼり男爵の関連著作
ジャン=ジャック・ルソー『エミール』
『エミール』は、1762年にジャン=ジャック・ルソーによって書かれた教育論と哲学小説です。この作品は、自然の中で教育を受けることで、社会の腐敗した影響から解放され、自律的で理性的な人間を育てることができると主張しています。
『木のぼり男爵』のコジモが社会の慣習を拒否し、自然の中で独自の生き方を選択する姿は、『エミール』で提唱される自然教育の理想と共鳴します。どちらも、既存の社会体制や教育方法に疑問を呈し、人間本来の姿や自由な生き方を探求するという共通のテーマを持っています。
ダニエル・デフォー『ロビンソン・クルーソー』
『ロビンソン・クルーソー』は、1719年にダニエル・デフォーによって書かれた小説です。無人島に漂着した男が、理性と努力によって自然を克服し、生き抜く物語です。
『木のぼり男爵』のコジモもまた、自ら森での生活を選び、そこで知恵と工夫を凝らして独自の社会を作り上げていきます。両作品とも、人間が自らの力で困難を乗り越え、自由と自立を獲得していく過程を描いている点が共通しています。
ヴォルテール『カンdide』
『カンdide』は、1759年にヴォルテールによって書かれた風刺小説です。楽観主義を批判し、現実社会の不条理や人間の愚かさを皮肉たっぷりに描いています。
『木のぼり男爵』もまた、当時の社会や権力構造に対する風刺を織り交ぜています。コジモが木の上から社会を観察し、その矛盾や滑稽さを指摘する様子は、『カンdide』の主人公が経験する様々な出来事と同様に、読者に社会批判的な視点を提供しています。