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カルヴィーノの「木のぼり男爵」の思想的背景

## カルヴィーノの「木のぼり男爵」の思想的背景

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啓蒙主義の影響

カルヴィーノ自身は「木のぼり男爵」を啓蒙主義の物語としていましたが、単純な啓蒙主義的解釈に留まらない複雑さも持ち合わせています。主人公コジモが封建的な権威や社会の慣習に反発し、自らの意志で木の上の生活を選ぶ姿は、啓蒙主義的な個人の自由と理性、自然への回帰を象徴しています。

コジモは木の上から社会を観察し、読書や研究を通して知性を磨きます。これは、啓蒙主義者が重視した理性と知識の探求を反映しています。また、コジモは木の上から社会と関わり続け、人々に影響を与え続けます。これは、啓蒙主義者が目指した社会改革への積極的な姿勢を表しているとも解釈できます。

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実存主義との関連性

「木のぼり男爵」は、実存主義的なテーマも内包しています。コジモの選択は、外部からの強制ではなく、彼自身の自由意志によるものです。木の上という特異な環境に身を置くことで、彼は自己の責任と自由、そして社会との関わり方について、絶えず自問自答し続けます。

これは、実存主義が重視する「実存は本質に先立つ」という考え方を彷彿とさせます。人間は、社会的な役割や期待から自由であり、自らの選択によって自身の存在を規定していくという思想が、コジモの姿に投影されていると解釈することも可能です。

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