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カミュの反抗者の美

カミュの反抗者の美

美と反抗の関係性

カミュにとって、反抗とは単なる否定的な行為ではなく、人間存在の根源に関わる肯定的な行動原理です。そして、その反抗の姿には独特の美が存在します。
カミュは、抑圧や不条理に対して「ノー」と叫ぶ人間の姿に、生の affirmation (肯定)、そして自由への渇望を見出します。
反抗は、人間が自身の尊厳と自由を守るために、不条理な世界に立ち向かう姿であり、そこにこそ、カミュは美を見出すのです。

限界と節度

しかし、カミュは同時に、反抗が行き過ぎた暴力や破壊へと転化する危険性も認識していました。
「反抗者」において、彼は、革命の名の下に Terror (恐怖政治) を敷いた Robespierre (ロベスピエール) のような存在を批判しています。
真の反抗とは、あくまでも「限界」と「節度」を保ちながら、他者の自由と尊厳をも尊重するものでなければなりません。
カミュは、反抗の美を語る一方で、その危険性についても冷静な視線を向けていたのです。

「反抗者」における美の具体例

カミュは「反抗者」の中で、具体的な人物や作品を例に挙げながら、反抗の美を描き出しています。
例えば、彼は、ギリシャ神話の Prometheus (プロメテウス) や、小説「カラマーゾフの兄弟」の Ivan Karamazov (イワン・カラマーゾフ) などを、不条理な世界に反抗する存在として提示しています。
これらの登場人物たちは、自らの信念のために苦難の道を歩みますが、彼らの生き方には、カミュの考える反抗の美が体現されていると言えるでしょう。

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