カミュの反抗者の構成
第1部 反抗的人間
第1部は、「反抗的人間」と題され、全5章で構成されています。
冒頭でカミュは、反抗の概念を導入し、それが「ノーと言いうこと」であると同時に、「ある種のイエス」を内包する複雑なものであることを示唆します。
第2章では、反抗の具体例として、ニーチェやサド、ローマン主義などを分析します。
第3章では、20世紀初頭にフランスで流行したニヒリズムについて論じ、その思想的な背景と影響について考察を加えます。
第4章では、ドストエフスキーの作品を題材に、ニヒリズムが行き着く先にある「すべてが許される」という思想の危険性を指摘します。
そして最終章では、反抗の概念をさらに深化させ、それが単なる破壊行為ではなく、人間の尊厳や自由を守るための肯定的な行為であることを主張します。
第2部 反抗的思想
第2部は、「反抗的思想」と題され、全6章で構成されています。
第1章では、19世紀のフランスにおける革命思想の発展と挫折を historical な視点から分析します。
第2章では、ヘーゲルやマルクスの思想を批判的に検討し、彼らが説いた歴史の必然性という概念に疑問を呈します。
第3章では、反抗の概念を政治的な領域にまで拡張し、全体主義や独裁政権といった抑圧的な体制に対する抵抗の重要性を説きます。
第4章では、20世紀の全体主義体制下におけるテロや暴力の問題を取り上げ、それらが孕む倫理的なジレンマについて考察します。
第5章では、反抗における「手段と目的」の関係性について深く掘り下げ、いかなる場合においても、手段は目的に合致していなければならないという原則を強調します。
そして最終章では、反抗が目指すべき未来社会の姿について展望を示し、そこでは自由と正義、そして人間の尊厳が保障されるべきであると主張します。
付録
付録には、「希望とテロについて」と題されたエッセイが収録されています。