カミュの反抗者のテクスト
テクストの構成
「反抗者」は、1951年に出版されたアルベール・カミュの哲学的エッセイです。 この作品は、大きく四つのパートと、その後に続く付録「反抗者と芸術」で構成されています。
第一部:反抗の人間
第一部では、カミュは「反抗」という概念を、歴史的な出来事や文学作品を通して探求します。まず、個人のレベルにおける反抗、特に「殺人者」と「自殺者」の対比から始めます。カミュは、殺人者が「否」によって世界を否定し、自殺者が「否」によって自身を否定すると論じます。そして、反抗を「否」と「是」の両面を持つ行為として提示します。
第二部:形而上学的な反抗
第二部では、反抗が社会や歴史、さらには神に対する反逆に発展していく過程が描かれます。カミュは、ニーチェやサルトルといった思想家の影響を受けながら、神に対する反抗は、神の存在を前提とした上で否定することであるため、真の反抗とは言い難いと主張します。
第三部:反抗的思想
第三部では、歴史的な文脈における反抗が分析されます。カミュは、フランス革命やロシア革命といった革命運動を例に挙げながら、反抗がテロや全体主義に陥る危険性を指摘します。
第四部:反抗と芸術
第四部は、芸術における反抗に焦点を当てています。カミュは、芸術家は反抗者として、既存の価値観や規範に挑戦し、新しい世界観を創造すると論じます。彼は、ドストエフスキーやアンドレ・ジッドといった作家たちの作品を分析しながら、反抗的な芸術が持つ意味を考察します。
付録:反抗者と芸術
付録「反抗者と芸術」では、本編で展開された議論をさらに深め、芸術における反抗の具体的なあり方について考察が加えられます。カミュは、真の芸術家は反抗を通して、世界の不条理と向き合い、人間の尊厳を追求すると主張します。