カミュのペストを読んだ後に読むべき本
サルトルの嘔吐
カミュの『ペスト』は、アルジェリアのオラン市を襲ったペストの流行を描いた物語を通して、実存主義的なテーマを探求する作品です。不条理な状況下における人間の存在意義、そして、絶望と向き合いながらも連帯と希望を見出そうとする人々の姿が描かれています。
『嘔吐』は、サルトルの実存主義思想を代表する小説であり、『ペスト』と同様に、人間の存在の不条理さに焦点を当てています。主人公ロカンタンは、突如として自分の存在と周囲の物体の存在の不条理さに襲われ、激しい吐き気を催します。この「嘔吐」は、彼を取り巻く世界の無意味さを象徴しており、ロカンタンは、この不条理な世界における自己の存在意義を見出そうともがき苦しみます。
両作品は、人間の存在の根源的な問題に切り込み、読者に深い思索を促すという点で共通しています。『ペスト』で描かれるペスト禍という極限状況は、『嘔吐』におけるロカンタンの感じる不条理な世界と重なり合い、読者は、それぞれの作品が提示する「不条理」というテーマをより深く理解することができます。
また、『ペスト』が共同体における人間の連帯と希望を描いているのに対し、『嘔吐』は、個人の孤独と自由というテーマを深く掘り下げています。対照的なテーマを扱いつつも、どちらも人間の存在意義を問うという点で共通しており、両作品を読むことで、実存主義文学の多角的な視点を得ることができます。
『ペスト』を読了後、『嘔吐』を読むことで、実存主義文学の深淵に触れるとともに、カミュとサルトルという二人の偉大な作家が、人間の存在という普遍的なテーマにどのように向き合っていたのかを比較検討することができます。