カミュのペストの選択
登場人物の選択
カミュの『ペスト』では、ペストという極限状況下における人間の様々な選択が描かれています。医師リウーは、ペストと闘うことを選びます。彼は、それが医師としての義務だと考え、自己犠牲の精神で患者の治療に当たります。その一方で、ジャーナリストのランベールは、ペスト禍から逃れ、愛する人の待つパリへ戻ろうとします。彼は、ペストを自分とは無関係な出来事と捉え、個人的な幸福を追求することを選択します。また、神父パヌルーは、ペストを神の試練だと解釈し、人々に祈りを呼びかけます。彼は、信仰によってペストを克服しようと試みます。
善悪を超えた選択
重要なのは、カミュがこれらの選択に対して明確な優劣をつけていない点です。リウーの献身的な行動は賞賛に値するものであり、ランベールの選択もまた、人間として自然な感情に基づいています。パヌルーの信仰もまた、彼にとっては真実であり、心の支えとなっています。カミュは、それぞれの選択が、その人物の価値観や人生観を反映したものであり、一概に善悪で判断できるものではないことを示唆しているのです。