カポーティの冷血の原点
事件との出会い
1959年11月15日、 Truman CapoteはThe New York Timesでカンザス州ホルカムの裕福な農家一家惨殺事件の記事を目にしました。見出しは「カンザス農場一家、喉を切り裂かれ射殺される。 犯人は不明」というセンセーショナルなものでした。 この事件に興味を持ったカポーティは、The New Yorker誌の編集者William Shawnに連絡を取り、この事件を題材にした記事を書きたいと申し出ました。
綿密な取材
Capoteは、友人で幼馴染みの作家Harper Leeを助手として同行し、カンザス州ホルカムに赴きました。現地では、6年間にわたって事件の調査、裁判の傍聴、関係者へのインタビューを重ねました。 特に、逮捕された犯人のPerry SmithとRichard Hickockには面会を重ね、彼らの生い立ちや事件に至るまでの経緯を詳細に聞き取りました。
ノンフィクション・ノベルという試み
Capoteは、この事件を単なる犯罪報道ではなく、「ノンフィクション・ノベル」という新しいジャンルで描こうと考えました。 事件の事実関係を忠実に描写しながらも、登場人物の心理描写や情景描写を小説の手法を用いて表現することで、読者に事件をより深く理解させ、人間の心の闇に迫ろうとしたのです。
出版とその後
1965年、「In Cold Blood（邦題：冷血）」はThe New Yorker誌に連載され、翌年単行本として出版されました。 この作品は、綿密な取材に基づいたリアリティと、小説のような文体的魅力を兼ね備えており、たちまちベストセラーとなり、高い評価を受けました。 しかし、Capoteはその後、この作品に匹敵する作品を生み出すことはできず、1984年に59歳で亡くなりました。