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カポーティの『冷血』の思考の枠組み

## カポーティの『冷血』の思考の枠組み

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ノンフィクション・ノベルという試み

カポーティは『冷血』において、ジャーナリズムと文学の融合を目指し、「ノンフィクション・ノベル」という新しいジャンルを提唱しました。

彼はこの作品を執筆するにあたり、膨大な量の取材を重ねました。事件現場を訪れ、関係者にインタビューを行い、裁判記録や警察の報告書を綿密に調べ上げました。

そして、集めた事実を客観的に描写することに徹し、小説のような技巧を凝らして、登場人物の心情や事件の背景を描き出しました。

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善悪の境界線

カポーティは、従来の犯罪小説のように犯人を単なる悪として描くのではなく、その生い立ちや心理にまで深く迫りました。

特に、犯人の一人であるペリー・スミスに対しては、同情に近い感情を抱いていたと言われています。

彼は、ペリーを貧困や虐待といった劣悪な環境がもたらした悲劇の産物として描き、読者に「誰が彼を怪物にしたのか」という問いを投げかけています。

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死刑制度への疑問

カポーティ自身は死刑制度に反対の立場をとっていませんでしたが、『冷血』は結果的に死刑制度の問題点を浮き彫りにする作品となりました。

作中では、犯行の残忍さとペリーの人間的な側面が対照的に描かれ、読者は複雑な感情を抱かざるを得ません。

カポーティは、死刑という重いテーマを扱うにあたり、安易な結論を避け、読者自身の判断に委ねる姿勢を貫きました。

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