カッシーラーのシンボル形式の哲学の関連著作
エルンスト・カッシーラー 著 『シンボル形式の哲学』
カッシーラー自身の主著であり、シンボル形式の哲学が体系的に展開されています。カッシーラーは、人間を「シンボルを用いる動物」と定義し、神話、言語、科学、芸術など、人間の文化活動はすべてシンボル形式の創造であると主張しました。本書では、言語、神話、芸術、歴史、科学といった多様なシンボル形式が、人間の意識の形成と世界認識にどのように関わっているのかを考察しています。
イマヌエル・カント 著 『純粋理性批判』
カントは人間の認識能力の構造を分析し、我々が認識できるのは「物自体」ではなく、「現象」としての世界のみであるとしました。彼はまた、時間や空間は外界に実在するものではなく、人間の感性に由来する「先天的直観形式」であると主張しました。カッシーラーはカントの超越論的哲学を高く評価し、シンボル形式の哲学の出発点としました。特に、カントが提唱した「物自体」と「現象」の区別、そして人間の認識における「先天的形式」の役割は、カッシーラーの哲学に大きな影響を与えています。
ゲオルグ・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル 著 『精神現象学』
ヘーゲルは、人間の精神が自己発展の過程を通じて絶対知へと至る過程を弁証法的に描しました。彼は、精神は自然や社会、歴史といった外界と絶えず相互作用しながら、自己を客観化し、自己認識を深めていくと主張しました。カッシーラーはヘーゲルの弁証法を批判的に継承し、シンボル形式もまた、人間の精神が歴史的に発展させてきたものであると捉えました。
ヴィルヘルム・ディルタイ 著 『精神科学序説』
ディルタイは、自然科学的方法を人間精神の理解に適用することに対して批判的であり、「理解」を基礎とする精神科学の方法を提唱しました。彼は、人間は歴史的・文化的文脈の中で「体験」を通じて世界を理解すると主張し、文化や歴史を解釈学的視点から分析しました。カッシーラーはディルタイの思想を受け継ぎ、文化を人間の精神活動が生み出したシンボル形式の体系として捉え、解釈学的分析の対象としました。