## カッシーラーのシンボル形式の哲学の感性
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受動的な感覚を超えて
カッシーラーにおいて、感性は外界からの刺激を単に受動的に受け取るだけの能力ではありません。彼は、動物と人間を隔てるものとして、「シンボル機能」を挙げ、人間は世界をシンボルによって把握する存在であると主張しました。感性は、このシンボル機能と密接に関係し、世界を意味あるものとして構成するアクティブな働きを担います。
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「感覚材料」と「感覚構造」
カッシーラーは、カントの哲学を出発点としつつも、独自の感性論を展開しました。彼は、感覚経験を「感覚材料」と「感覚構造」の二つの側面から捉えます。「感覚材料」とは、外界からの刺激によって生じる感覚データそのものを指し、個々の感覚器官に依存した個別的かつ断片的なものです。一方、「感覚構造」は、これらの感覚データを統合し、秩序づけ、意味を与える働きを指します。
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シンボル機能における感性の役割
カッシーラーは、この「感覚構造」を生み出すのがシンボル機能であると主張します。シンボル機能は、感覚データに意味を与え、それらを相互に関係づけることで、世界を認識するための枠組みを構築します。そして、感性は、このシンボル機能と不可分な関係にあり、受動的に与えられる「感覚材料」を、「感覚構造」へと変換するアクティブな働きを担うのです。
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知覚における感性とシンボルの相互作用
たとえば、私たちが「赤いリンゴ」を知覚する時、単に赤い色と丸い形という感覚データを受け取っているだけではありません。私たちは、過去の経験や知識に基づき、それらの感覚データを「リンゴ」というシンボルと結びつけ、さらに「赤い」という属性を認識します。このように、感性は、シンボル機能と相互作用しながら、世界を意味あるものとして構成していくのです。
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多様なシンボル形式と感性
カッシーラーは、言語、神話、芸術、科学など、人間文化における様々な表現活動を「シンボル形式」と呼び、それぞれが独自の構造と法則を持つとしました。そして、感性は、これらの多様なシンボル形式と関わりながら、世界を多角的に認識することを可能にします。