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カエサルのガリア戦記の感性

## カエサルのガリア戦記の感性

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客観性と主観性

「ガリア戦記」は、カエサル自身がガリア遠征における自らの活躍を詳述した戦記です。その内容は、軍事戦略、戦闘描写、ガリアの地理や民族誌など多岐に渡ります。カエサルは、自らの行動を正当化し、業績を誇張する目的でこの書を記したという見方が一般的です。

その記述は、一見客観的で冷静さを保っているように見えます。地理や民族の描写、戦闘の経過など、詳細な情報を淡々と伝える筆致は、あたかも第三者の視点から書かれているかのような印象を読者に与えます。しかしながら、随所にカエサルの主観や感情が読み取れるのも事実です。

例えば、自らの軍事的才能を強調する記述や、敵対するガリア人の野蛮性を強調する記述などは、カエサルの主観に基づいたものであると言えます。また、遠征の困難さやガリア人の勇敢さを描写する際には、カエサルの率直な感情が垣間見える箇所もあります。

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簡潔さと文学性

「ガリア戦記」の文章は、簡潔で明快なことで知られています。修辞を凝らした表現や感情的な描写は少なく、事実を淡々と伝えることに重点が置かれています。これは、カエサルが軍人として培ってきた、簡潔な報告を重視する姿勢が反映されているためと考えられています。

しかしながら、「ガリア戦記」は単なる軍事報告書ではありません。戦闘の描写などでは、臨場感あふれる表現を用いることで、読者を引き込むことに成功しています。また、ガリアの風土や文化を生き生きと描写するなど、文学作品としての側面も持ち合わせています。

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