## オーウェンの新社会観の主題
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競争原理に基づく資本主義社会への批判
ロバート・オウエン(1771-1858)は、当時のイギリス社会を支配していた資本主義の競争原理を厳しく批判しました。彼は、人間は生まれながらにして善であり、協力し合う性質を持っていると信じていました。しかし、当時の社会は、人々を互いに競争させ、対立させることで、人間の善性を阻害していると彼は考えました。
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環境決定論に基づく人間形成論
オウエンは、人間の性格や能力は生まれつきの素質ではなく、生育環境によって決定されるとする「環境決定論」を唱えました。貧困や劣悪な労働環境は、人々の道徳や能力を著しく低下させると彼は主張しました。逆に、良好な環境を提供することで、人間は善良で勤勉な存在になり、社会に貢献できると考えました。
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「新しい道徳世界」の建設
オウエンは、競争ではなく協調を重視する「新しい道徳世界」の建設を提唱しました。彼は、労働者と資本家の対立を解消し、生産手段を共有することで、貧困や格差のない平等な社会を実現できると考えました。