オーウェルの象を射つに影響を与えた本
ジョゼフ・コンラッド著『闇の奥』
ジョージ・オーウェルのエッセイ「象を射つ」は、植民地時代のビルマで警察官として働く語り手の経験をたどり、その中で彼は群衆の圧力によって象を殺すことを余儀なくされます。このエッセイは、帝国主義の性質、良心と義務の対立、公のペルソナが個人の道徳に与える影響についての痛烈な探求となっています。「象を射つ」のテーマとイメージの多くは、ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』の影響を強く受けていると言えます。この小説もまた、植民地時代のコンゴを舞台とし、ヨーロッパ帝国主義の闇を覗き込みます。
『闇の奥』でコンラッドが描いた、帝国主義によって生み出された道徳的、心理的退廃という考え方は、「象を射つ」に見られる中心的なテーマと共鳴しています。どちらの作品も、植民地の権力の構造が、支配者と被支配者の双方を腐敗させ、人間性を喪失させることを主張しています。コンラッドの小説では、象牙の商人で、自分の欲望のために残虐行為に耽る謎めいた人物、クルツが、この腐敗を体現しています。同様に、「象を射つ」では、語り手はビルマの人々から嘲笑され、軽蔑されることで、自らの立場に閉じ込められていると感じ、帝国の抑圧的な体制の中で、自らがどうすれば共犯者になるのかを痛感しています。
コンラッドがヨーロッパ人の心を暗く未開の領域として描いた「闇」のイメージは、「象を射つ」の背景にも大きく影響しています。コンラッドの小説では、コンゴは、文字通りの意味でも比喩的な意味でも、人間の心の最も暗い衝動を露呈する場所です。同様に、オーウェルのエッセイにおけるビルマの描写も、植民地主義のもたらす抑圧的で、しばしば暴力的な状況によって形作られています。猛暑、鬱蒼としたジャングル、人間を軽視する無名の環境は、登場人物の道徳的な曖昧さと、彼らが直面する暴力の感覚を高めています。
さらに、「象を射つ」は、植民地主義の枠組みの中でアイデンティティとパフォーマンスというテーマを探求するという点で、『闇の奥』から明確な影響を受けています。どちらの作品の登場人物も、自分たちの周囲の人々の期待に応えるために、特定の役割を演じることを余儀なくされ、その結果、本来の自分と、自分たちが演じている役割との間で緊張感が生まれています。コンラッドのマーロウは、帝国の権威の代表者としての役割を演じていますが、同時に、自分が見聞きしたものに深く不安を抱いています。同様に、オーウェルの語り手は、帝国の警察官という自らの役割によって、自分の良心に反することをも強制されることに気づきます。
結論として、ジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』は、ジョージ・オーウェルの「象を射つ」のテーマ、イメージ、懸念事項を形作った、重要な文学的前例を提供しています。どちらの作品も、植民地主義の残虐性、道徳的、心理的な影響、権力とアイデンティティの複雑なダイナミクスを探求しています。オーウェルがコンラッドの作品から得た鮮明なイメージと、登場人物の心理についての鋭い洞察は、「象を射つ」の永続的な力を高め、帝国主義の抑圧的で非人間的な性質に対する痛烈な告発となっています。