## オルテガの大衆の反逆の構成
第1部 大衆の蜂起
本書の導入にあたる部分です。「いま起きている劇的な変化は、歴史上かつてなかったほど大きな意味を持っている」と述べ、現代社会における大衆の台頭を「歴史的状況」として捉えます。
第1章では、現代社会の特徴として、人びとが街にあふれかえり、生活水準が向上していることを挙げます。そして、こうした状況を「大衆の垂直侵略」と呼び、特権階級の没落と大衆の勃興という社会構造の変革を説明します。
第2章では、大衆の量的増加に伴い、社会における人びとの振る舞い方が変化したことを指摘します。そして、かつては社会の指導層に限られていた「高貴な義務」を、現代の大衆は放棄していると批判します。
第3章では、大衆の精神構造を分析し、「自己満足」「無反省」「自由の否定」といった特徴を指摘します。
第4章では、大衆が「直接行動」という形で政治や社会に影響力を持つようになったことを指摘し、それが専門知識や理性的な議論を軽視することに繋がると批判します。
第2部 大衆の国家
この章では、大衆の台頭が国家や政治に与える影響を考察します。
第5章では、19世紀のヨーロッパで台頭した「国家」という概念が、大衆によって変質させられていると指摘します。国家はもはや、自由と権利を保障する存在ではなく、大衆の欲望を満たすための道具と化していると批判します。
第6章では、大衆社会における政治の特徴を分析します。政治は、理性的な議論に基づく政策決定ではなく、大衆の感情や欲望に迎合するポピュリズムに支配されると指摘します。
第7章では、大衆社会における官僚制の肥大化を批判します。官僚制は、本来は社会の秩序を維持するための制度ですが、大衆社会においては、非効率で自己目的化した巨大な組織と化していると指摘します。
第8章では、大衆社会における教育の危機について論じます。大衆社会では、真の教養や批判的精神が軽視され、実用的な知識や技能のみが重視されるようになると批判します。
第3部 ヨーロッパの貴族主義と大衆社会
この章では、大衆社会への対抗軸として、ヨーロッパの歴史における「貴族主義」の概念を再評価します。
第9章では、「貴族主義」を、自己犠牲と義務感に基づき、常に自己を鍛錬し続ける精神と定義します。そして、歴史的に貴族階級が担ってきた役割を評価し、現代社会においても「貴族主義」の精神が必要であると主張します。
第10章では、ヨーロッパ文明を築き上げてきた「貴族主義」の伝統が、大衆社会の台頭によって危機に瀕していると警告します。
第11章では、大衆社会に対抗するために、新しい形の「貴族主義」が必要であると主張します。それは、特定の社会階層に限定されるものではなく、あらゆる人が自己の能力を最大限に発揮し、社会に貢献するために努力する精神です。