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オルテガの「大衆の反逆」の美

オルテガの「大衆の反逆」の美

美とは何か?

オルテガの「大衆の反逆」は、そのタイトルが示すように、大衆社会の台頭を批判的に論じた作品として知られています。 しかし、作品全体を注意深く読むと、オルテガは大衆社会そのものよりも、むしろその中に潜む「醜さ」に強い嫌悪感を抱いていたことが分かります。 そして、この「醜さ」への嫌悪感の裏側には、オルテガ自身の美意識、言い換えれば何が「美しい」のかについての明確な考え方が存在していたと考えられます。

オルテガにとっての「醜さ」

オルテガは、「大衆の反逆」の中で、現代社会における「専門性の欠如」と「自己中心的で受動的な姿勢」を強く批判しています。 オルテガにとって、専門家とは、単に特定の分野に精通しているだけでなく、その分野に情熱を注ぎ、絶えず自己鍛錬を続けることで、高みを目指し続ける存在です。 一方、大衆は、このような専門家の努力によって獲得された成果を、当然のこととして享受するだけであり、自らの努力によって何かを生み出そうという意志に欠けています。

「貴族主義」と「美」

オルテガは、このような大衆の姿勢を「野蛮な生」と呼び、それに対抗するために必要なものとして「貴族主義」を提唱します。 ただし、ここで言う「貴族主義」とは、血統や家柄に基づく差別を正当化するものではありません。 オルテガにとって「貴族」とは、常に自己を磨き、より高尚なものを目指して努力し続ける精神の持ち主を指します。

「生の計画」と「美」

オルテガは、人間は「生の計画」を持つ存在であると主張します。 これは、単に生きていくのではなく、自らの人生に目標や意味を見出し、それに向かって努力していくことを意味します。 そして、オルテガにとって、この「生の計画」こそが、人間を他の動物と区別するものであり、美しさの源泉となるものでした。

まとめ

オルテガの「大衆の反逆」は、一見すると、現代社会に対する悲観的な見方に満ちた作品と捉えられがちです。 しかし、その根底には、人間に対する深い信頼と、より良い社会を築きたいという強い願いが込められています。 オルテガは、人間が「生の計画」を立て、自らの人生に意味を見出すことによってのみ、真の美を実現できると信じていたと言えるでしょう。

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