オリーンの貿易理論「地域および国際貿易」の技法
要素賦存論
オリーンの貿易理論の中核は、**要素賦存論**と呼ばれる概念にあります。これは、各国が保有する生産要素(労働、資本、土地など)の相対的な量と比率が、その国の比較優位、ひいては貿易パターンを決定するというものです。
要素価格均等化定理
オリーンは、自由貿易の下では、生産要素の価格(賃金、資本レント、地代など)が国際的に均等化するという**要素価格均等化定理**を提唱しました。これは、貿易が財の移動だけでなく、間接的に要素の移動をもたらすためです。
簡略化されたモデルと仮定
オリーンの理論は、多くの点で簡略化されたモデルに基づいています。主な仮定としては、以下のものがあります。
* **2国2財2要素モデル**: 分析を単純化するために、2つの国、2つの財、2つの生産要素(通常は労働と資本)のみを考慮します。
* **同質的な生産要素**: 各生産要素は、国や産業にかかわらず同一の質であると仮定します。
* **完全競争**: 全ての市場は完全競争状態にあり、独占や寡占は存在しないと仮定します。
* **規模の経済性がない**: 生産規模の拡大による平均費用の低下は考慮しません。
* **輸送費と貿易障壁がない**: 財や要素の移動にはコストがかからず、関税や輸入割当などの貿易障壁も存在しないと仮定します。
生産可能性フロンティア
オリーンの理論では、**生産可能性フロンティア**を用いて、各国が限られた資源を使って生産できる財の組み合わせを示します。要素賦存量の違いが、生産可能性フロンティアの形に影響を与え、比較優位の違いを生み出すことを示します。
無差別曲線
消費者の選好は、**無差別曲線**によって表されます。無差別曲線は、消費者が同じ満足度を得られる財の組み合わせを示す曲線です。
均衡分析
オリーンの理論では、生産可能性フロンティア、無差別曲線、国際価格などを用いて、自由貿易が行われた場合の均衡点を求めます。均衡点では、各国の生産と消費が最適化され、貿易利益が最大化されます。