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オリーンの貿易理論「地域および国際貿易」の対極

オリーンの貿易理論「地域および国際貿易」の対極

フリードリヒ・リスト 「経済学の国民的体系」

「地域および国際貿易」で知られる、自由貿易を擁護する立場をとる、スウェーデンの経済学者、ベルトレ・オリーンの貿易理論とは対照的に、19世紀のドイツの経済学者フリードリヒ・リストは保護貿易を主張し、特に著書「経済学の国民的体系」でその理論を展開しました。

リストは、アダム・スミスやリカードなどの古典派経済学者が唱える自由貿易は、すでに工業化を達成し、経済的に優位な立場にあるイギリスに有利な理論であると批判しました。彼は、国家の発展段階に応じて経済政策も変化するべきだと考え、当時のドイツのように、産業革命の途上にあり、イギリスとの競争にさらされている国では、国内産業を保護し育成するために保護貿易が必要であると主張しました。

リストは、国家の経済力は、単に労働力や資源だけでなく、製造業の技術力や熟練労働者の存在など、彼が「生産力」と呼ぶ複合的な要因によって決定されると考えました。そして、自由貿易によって安価な工業製品が流入してくることは、途上国の国内産業の成長を阻害し、「生産力」の向上を妨げると主張しました。

彼は、自由貿易は最終的には世界経済の利益になるものの、それはすべての国が同じ発展段階に達し、対等な立場で競争できるようになってからの話であるとしました。リストは、途上国が自国の産業を育成し、先進国と対等に競争できるようになるためには、一時的な保護貿易が必要であると主張したのです。

リストの「経済学の国民的体系」は、当時のドイツやアメリカ合衆国など、産業発展の途上にあった国々に大きな影響を与え、保護貿易政策を採用する根拠となりました。彼の主張は、現代においても、途上国における産業政策や国際貿易における公平性の議論の中で、重要な視点を提供しています。

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