オリーンの貿易理論「地域および国際貿易」の価値
地域経済学への貢献
オリーンの貿易理論は、それまでの国際貿易論の常識を覆し、地域経済学の分野に大きな影響を与えました。従来の貿易理論では、国全体をひとまとめに考え、比較優位を持つ財を輸出するとされていましたが、オリーンは生産要素の賦存比率に着目し、各国が豊富に保有する生産要素をより多く使用する財を輸出すると主張しました。
ヘクシャー=オリーン・モデルの提示
オリーンは、師であるヘクシャーの考えを発展させ、ヘクシャー=オリーン・モデル(H-Oモデル)を提唱しました。これは、各国が労働、資本、土地などの生産要素を異なる比率で保有しており、その違いが国際貿易を引き起こすと説明するものです。このモデルは、要素賦存の違いが貿易パターンを決定するという点で、従来の理論よりも現実的な説明を提供しました。
要素価格均等化定理
オリーンは、貿易によって要素価格が均等化するという「要素価格均等化定理」を提唱しました。これは、貿易が自由化されると、生産要素の価格(賃金、利潤、地代など)が国際的に均等化していくというものです。この定理は、貿易が国内の所得分配に影響を与えることを示唆しており、その後の貿易と所得分配に関する議論の出発点となりました。