## オリーンの貿易理論「地域および国際貿易」のメッセージ
国際貿易の要因:従来の見解への批判
オリーンは従来の国際貿易理論、特にリカードの比較生産費説が、国際貿易の発生要因を十分に説明しきれていないと批判しました。リカードは、労働生産性の国際的な違いが貿易を生み出すと主張しましたが、オリーンは、なぜ国によって労働生産性に違いが生じるのかという点に目を向けました。
要素賦存論の提示
オリーンは、国際貿易の要因は、各国に賦存する生産要素の相対的な価格の違いに求められると主張しました。これを「要素賦存説」または「ヘクシャー=オリーンの定理」と呼びます。具体的には、各国は、相対的に豊富に存在する生産要素を相対的に安く供給し、それを集約的に使用する財を、国際市場において相対的に低い価格で供給できると考えました。
生産要素の定義と国際貿易への影響
オリーンは、生産要素として、労働、資本、土地の三つを挙げ、それぞれの要素が質的に均質であると仮定しました。そして、各国がこれらの要素を異なる比率で保有していると仮定しました。例えば、ある国は労働と比較して資本を豊富に保有し、別の国は資本と比較して土地を豊富に保有しているといった具合です。
このような要素賦存の違いが、財の生産における相対的な価格の違いを生み出すとオリーンは考えました。例えば、資本を豊富に保有する国では、資本の価格が相対的に低くなり、資本集約的な財を相対的に低い価格で生産することができます。
地域貿易への示唆:要素賦存論の応用
オリーンは、要素賦存論を国際貿易だけでなく、地域間の貿易にも適用できると考えました。地域間でも、要素賦存に違いがあれば、その違いに基づいて貿易が発生すると考えたのです。
貿易による要素価格均等化
オリーンは、国際貿易の結果として、各国の生産要素の価格は均等化していくと主張しました。これは、貿易によって財の価格が均等化していく過程で、財の生産に利用される要素の価格もまた均等化していくためです。
結論
以上が、オリーンの貿易理論「地域および国際貿易」の主要なメッセージです。要素賦存説は、国際貿易の発生要因を説明する上で重要な視点を提供するものであり、その後の貿易理論の発展に大きな影響を与えました。
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