## オットーの聖なるものの思考の枠組み
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ヌミノーゼ体験
ルドルフ・オットーは、『聖なるもの』の中で、宗教体験の根幹をなす「ヌミノーゼ」という概念を提唱しました。 これは、理性や道徳といった通常の意識の枠組みでは捉えきれない、圧倒的な力の前にひれ伏すような、畏怖、畏怖、驚愕、魅了といった感情が複合した体験です。
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ヌミノーゼの特性
オットーは、ヌミノーゼ体験を特徴づける5つの要素を挙げています。
1. **mysterium tremendum(戦慄すべき神秘)**: 不可知で圧倒的な力に対する、底知れぬ恐怖や畏怖の感覚。
2. **mysterium fascinans(魅惑的な神秘)**: 恐ろしくもありながら、同時に不思議な魅力を感じ、惹きつけられる感覚。
3. **絶対的他者性**: 日常的な経験の範疇を超越した、全く異質な存在への直面。
4. **畏怖**: 圧倒的な力の前にひれ伏し、服従せざるを得ない感覚。
5. **聖なるものの力強さ**: エネルギーに満ち溢れ、見るものを圧倒する力強さ。
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聖なるものの表現
オットーは、言語を用いてヌミノーゼを完全に表現することは不可能だとしました。
なぜなら、ヌミノーゼ体験は、人間の理性や言語の範疇を超越したものであるからです。
しかし、彼は、宗教的言語や象徴が、ヌミノーゼの片鱗を表現しようと試みるものであると論じました。
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聖なるものと倫理
オットーは、聖なるものを倫理的な善と同一視することを強く批判しました。
彼によれば、聖なるものは、善悪を超越した、より根源的な力であり、倫理は、聖なるものへの畏怖の念から派生的に生まれるものだと考えました。