## オットーの聖なるものの対称性
### 対称性１：建築構造における左右対称性
オットー朝の美術を代表する「オットーの聖なるもの」は、十字型の平面を持つアーヘン大聖堂の中心部に位置し、その構造は東西南北に対してほぼ完璧な左右対称性を示しています。 東側には聖遺物を納める聖龕があり、西側には皇帝の席が設けられています。 北と南にはそれぞれ階段があり、聖遺物に巡礼者がアクセスできるようになっていました。
### 対称性２：素材と色彩の対比構造
「オットーの聖なるもの」は、金、銀、象牙、宝石といった貴重な素材と、豊かな色彩を駆使して構成されています。
これらの素材と色彩は、単に装飾的に用いられているのではなく、天上の世界と地上の世界、神聖なものと世俗なもの、といった対比構造を表現するために計算されています。
### 対称性３：図像における上下構造と位階性
「オットーの聖なるもの」の図像構成は、キリストを頂点とした厳格な上下構造と位階性を示しています。 最上部にはキリストが君臨し、その周囲には天使や聖人たちが配置されています。 下降していくに従って、皇帝や聖職者、そして一般信徒といったように、位階が下がっていく様子が表現されています。