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オットーの聖なるもののメッセージ

オットーの聖なるもののメッセージ

ルドルフ・オットーの思想における「聖なるもの」の位置づけ

ルドルフ・オットーは、20世紀初頭のドイツの神学者であり宗教哲学者です。彼の主著『聖なるもの』(Das Heilige)は、1917年の初版以来、宗教現象の解釈において多大な影響を与えてきました。オットーは、この著作において、「聖なるもの」という概念を宗教経験の本質として捉え直すことを試みました。彼は、聖なるものを、理性や道徳を超越した、まったく独自のカテゴリーとして捉え、それを「ヌミノーゼ」という言葉で表現しました。

ヌミノーゼの特性

オットーによれば、ヌミノーゼは、以下の3つの要素によって特徴づけられます。

* **畏怖の念(mysterium tremendum)**: 圧倒的な力や壮大さの前に感じる、底知れぬ恐怖や畏怖の感情。
* **魅惑(fascinans)**: 聖なるものに対して、恐怖と同時に感じる、抗いがたい魅力や惹きつけられる感情。
* **聖なるものの「全他性」(ganz Andere)**: 聖なるものは、我々の日常的な経験や知識の範囲を超えた、全く異質な存在であるという感覚。

オットーは、これらの要素が組み合わさることで、人間は聖なるものを経験し、宗教的な感情を抱くとしました。

聖なるものの表れ方

オットーは、聖なるものが、自然現象、歴史的事件、人物、場所、物体、儀礼など、様々な形で現れると述べています。

* **自然**: 雷、嵐、山、海などの壮大な自然現象は、古来より聖なるものの表れとして畏敬の念を抱かれてきました。
* **歴史**: 革命、戦争、偉人の出現など、歴史を大きく動かすような出来事も、聖なるものの働きかけとして解釈されることがあります。
* **人物**: 預言者、聖者、英雄など、人智を超えた力やカリスマを持つ人物は、聖なるものの具現化として崇拝の対象となることがあります。
* **場所**: 寺社仏閣、聖地、パワースポットなど、特別な霊気が感じられる場所は、聖なるものが宿る場所として信仰を集めます。
* **物体**: イコン、仏像、聖遺物など、宗教的な意味を持つ物体は、聖なるものと繋がるための媒介として扱われます。
* **儀礼**: 祈り、瞑想、巡礼、祭りなど、特定の形式や手順を伴う宗教的な行為は、聖なるものと接触し、その恩寵にあずかるための手段として行われます。

これらの表れ方は、文化や宗教によって異なりますが、いずれも人間が聖なるものを経験するための具体的な形であると言えます。

聖なるものの解釈

オットーの「聖なるもの」の概念は、西洋哲学における伝統的な神概念とは一線を画すものでした。彼は、聖なるものを、理性や道徳によって概念的に把握できるものではなく、あくまでも人間の感情や直感によって捉えられるものとして位置づけました。

彼の著作は、宗教現象を、教義や倫理といった側面だけでなく、人間の根源的な感情や経験に根ざしたものとして捉え直すきっかけを与え、後の宗教哲学や宗教学に大きな影響を与えました。

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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。

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