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エーコの薔薇の名前の発想

## エーコの薔薇の名前の発想

ウンベルト・エーコ自身による発言

ウンベルト・エーコは、著書『薔薇の名前』の着想について、様々なインタビューやエッセイの中で語っています。 以下に、彼の発言から確実に言える点をいくつか紹介します。

* **中世に対する関心:** エーコは中世という時代、特にその思想や文化に強い関心を抱いていました。彼は記号論の研究者でもあり、中世における記号や象徴の体系に興味を持っていました。
* **修道院という閉鎖空間:** エーコは、修道院という外界から隔絶された空間が、ミステリー小説の舞台として最適だと考えました。閉鎖空間であるがゆえの人間関係の複雑さや、秘密主義的な雰囲気が、物語に緊張感を与える要素となると考えたのです。
* **推理小説への愛着:** エーコは推理小説、特にシャーロック・ホームズのような古典的な探偵小説を愛読していました。彼は『薔薇の名前』を、中世版の推理小説として構想したと語っています。
* **書物と図書館:** エーコにとって書物と図書館は、単なる知識の宝庫ではなく、権力や欲望、陰謀が渦巻く場所でもありました。『薔薇の名前』の中心的な舞台となる図書館は、そうした彼の書物観を象徴する存在です。

タイトルの由来

エーコは、『薔薇の名前』というタイトルが、作品の内容と多層的に関連していると語っています。

* **作中に登場する薔薇:** 小説には、修道院の庭に咲く薔薇が重要なモチーフとして登場します。
* **中世の哲学論争:** 中世の哲学者たちは、普遍論争と呼ばれる論争を繰り広げました。この論争は、「普遍者(例えば「白さ」のような概念)は実在するか?」という問題を巡るものでした。エーコは、この論争を背景に、「薔薇」という言葉が指す具体的な花と、抽象的な概念としての「薔薇」との関係を暗示しています。
* **複数の解釈の可能性:** エーコは、「薔薇の名前」というタイトル自体が、読者によって様々な解釈ができることを意図していました。

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