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エーコのボードリーノを面白く読む方法

エーコのボードリーノを面白く読む方法

ボードリーノの世界観に浸る

ウンベルト・エーコの『ボードリーノ』は、12世紀の混沌とした世界を舞台に、ペテン師でありながらどこか憎めない魅力を持つ語り手ボードリーノの冒険を描いた歴史小説です。しかし、膨大な情報量と複雑な構成から、読解の難しさを感じる方も少なくないかもしれません。本稿では、この魅力的な作品をより面白く読むための方法をいくつかご紹介します。

歴史のifを楽しむ

『ボードリーノ』は歴史的事実を巧みに織り交ぜながらも、架空の出来事や人物を多数登場させることで、歴史と虚構が入り混じった独特の世界観を構築しています。例えば、作中には「プレスター・ジョン」という伝説のキリスト教の王が登場しますが、これは実在が確認されていない存在です。

このように、歴史的事実とフィクションが入り混じることで、読者は「もしもあの時、こんなことが起こっていたら?」という歴史のifを楽しむことができます。作中に登場する出来事や人物が史実なのかフィクションなのかを考えながら読むことで、作品世界の奥行きを一層感じ取ることができるでしょう。

語り手ボードリーノに注目する

『ボードリーノ』の最大の魅力は、何と言っても語り手であるボードリーノという人物の魅力にあります。彼は機転が利き、話術に長けたペテン師であり、嘘と本当を巧みに織り交ぜながら、読者を翻弄します。

ボードリーノの語る物語は、誇張や虚言に満ちており、どこまでが真実でどこからが嘘なのか、読者は常に疑いながら読み進めることになります。しかし、そんな彼も、時折、人間味あふれる一面を見せることがあります。

読者は、ボードリーノの語りのテクニックに騙されながらも、彼の言葉の裏に隠された真実や本心に迫っていくことで、より深く作品を楽しむことができるでしょう。

多彩なテーマについて考える

『ボードリーノ』は、単なる冒険物語ではなく、歴史、宗教、哲学、文学など、多岐にわたるテーマを内包しています。

例えば、作中には、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教など、様々な宗教が登場し、その関係性が描かれています。また、当時の社会における知識や権力の問題、真実と虚構の境界線など、現代社会にも通じる普遍的なテーマも扱われています。

作品を読み進めながら、これらのテーマについて深く考えてみることで、より一層、『ボードリーノ』の世界を堪能することができるはずです。

自分なりの解釈を見つける

『ボードリーノ』は、読者によって解釈が大きく異なる作品でもあります。歴史や宗教、文学に関する膨大な知識を背景に、複雑なプロットが展開されるため、一読しただけでは、その真の意味を理解することは難しいかもしれません。

しかし、だからこそ、この作品は何度も読み返す価値があります。読み返すたびに新しい発見があり、自分なりの解釈を深めていくことができるでしょう。

『ボードリーノ』は、読者自身が積極的に作品世界に飛び込み、その謎を解き明かしていくことで、真の面白さを味わえる作品と言えるでしょう。

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