エーコのボードリーノの関連著作
偽書の歴史
ウンベルト・エーコの小説「ボードリーノ」は、中世における偽書作成という魅力的なテーマを探求しています。この小説は、12世紀にコンスタンティノープルの宮廷で仕える若い修書のボードリーノを主人公に、架空の出来事や歴史上の人物を織り交ぜながら、偽造文書や捏造された歴史がどのようにして真実と見分けがつかなくなるかを鮮やかに描いています。
関連する歴史的名著
「ボードリーノ」をより深く理解するために、中世の歴史、文化、文学、そして特に偽書作成の慣習に光を当てる歴史的名著をいくつか紹介します。
1. アウグスティヌス「告白」
4世紀のキリスト教神学者アウグスティヌスの自伝的作品「告白」は、偽書作成というテーマを直接扱っているわけではありませんが、記憶、真実、自己欺瞞という複雑な問題を探求しており、「ボードリーノ」と密接に関連しています。
アウグスティヌスは自らの罪深い過去を振り返り、回心に至るまでの道のりを赤裸々に綴っています。
2. ヘロドトス「歴史」
古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの「歴史」は、歴史記述における真実とフィクションの関係を探求した初期の重要な作品です。ヘロドトスは「歴史の父」と呼ばれていますが、彼の著作には伝説、神話、風聞も含まれており、歴史的真実の性質について疑問を投げかけています。
3. ダンテ「神曲」
ダンテ・アリギエーリの叙事詩「神曲」は、中世の文学と思想に深く影響を与えた作品であり、「ボードリーノ」の世界観を理解する上で欠かせないものです。ダンテは地獄、煉獄、天国を旅しますが、その過程で歴史上の人物や出来事に出会い、道徳、罪、救済というテーマを探求しています。
これらの歴史的名著は、「ボードリーノ」の背景にある歴史的、文化的文脈を理解する上で貴重な視点を提供してくれます。