Skip to content Skip to footer

エーコのボードリーノの話法

## エーコのボードリーノの話法

###

語り手

『ボードリーノ』の語り手は、作中人物の一人である修修士ボードリーノです。彼は1200年代に生きた実在の人物であり、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世の廷臣でした。小説は、ボードリーノが自身の半生を、十字軍遠征や宮廷での出来事などと共に、架空の人物であるニケタス・コニアテスに語るという形式をとっています。

###

多層的な語り

ボードリーノの語りは、事実と虚構が入り混じった複雑な構造を持っています。彼は自身の体験を誇張したり、脚色したり、時には全くの嘘をついたりします。さらに、物語の中に別の物語が埋め込まれる入れ子構造も特徴的です。例えば、ボードリーノがフリードリヒ2世に聞かせたという「偽のアリストテレスの手紙」や、彼が生み出した架空の王国「プレスビテリ・ヨハネの王国」の物語などが挙げられます。

###

言語遊戯

ボードリーノは、言葉巧みで機知に富んだ人物として描かれています。彼は言葉遊びや駄洒落、皮肉などを駆使し、物語にユーモラスな雰囲気を与えています。また、ラテン語やギリシャ語、アラビア語などの様々な言語を操り、その知識をひけらかすこともあります。

###

歴史と虚構の交錯

『ボードリーノ』では、13世紀の歴史的事件や人物が、ボードリーノの語りを通して虚実織り交ぜて描かれます。十字軍遠征、モンジザールの戦い、フリードリヒ2世の治世といった史実は、ボードリーノの虚言や脚色によって歪められ、新たな解釈が加えられます。

これらの要素が組み合わさることで、『ボードリーノ』は歴史小説の枠を超えた、複雑で多層的な物語世界を構築しています。

Amazonで詳細を見る

Leave a comment

0.0/5