## エーコのフーコーの振り子を面白く読む方法
1. まずは物語の世界観に浸ることから始めよう
「フーコーの振り子」は、陰謀論、秘密結社、中世の神秘思想など、複雑な要素が絡み合った知的ミステリー小説です。難解と言われる所以は、これらの要素が歴史や宗教、哲学など幅広い分野に渡り、読者に一定の知識量を求めているからです。しかし、最初から全てを理解しようとする必要はありません。まずは、物語の舞台となる古書店や、主人公カゾボンが働く出版社の奇妙な雰囲気、そして彼を取り巻く個性的な登場人物たちの会話に耳を傾け、エーコが創り出す独特の世界観に身を委ねてみましょう。
2. 登場人物たちの関係性に注目しよう
主人公カゾボンは、出版社で歴史やオカルト関連の書籍編集に携わる傍ら、独自の視点で歴史や陰謀論を考察する人物です。物語は彼の視点で語られますが、彼を取り巻く登場人物たちもまた、それぞれの知識や信念、欲望を持って行動しています。カゾボンと親交を深めるベレンガーリオ、謎の男アリエ、そしてカゾボンの恋人リアなど、登場人物たちの関係性が変化していく様子を追うことで、物語はより複雑さを増し、読者を深い謎へと誘っていきます。
3. 散りばめられた記号や暗号を読み解く楽しみ
「フーコーの振り子」の魅力の一つは、随所に散りばめられた記号や暗号、歴史上の謎や逸話が、物語と複雑に絡み合い、読者に知的探求の楽しみを与えてくれる点にあります。カバラ、錬金術、テンプル騎士団など、一見すると難解な用語も、物語が進むにつれて徐々にその意味が明らかになっていきます。これらの記号や暗号を、登場人物たちと一緒に読み解いていくことで、読者もまた、物語の謎に深く関わっていくことができるでしょう。インターネットや関連書籍を活用しながら、積極的に謎解きに挑戦してみるのもおすすめです。
4. 歴史とフィクションの境界線を楽しむ
エーコは歴史学者としての顔も持ち、作中には史実や実在の人物が多く登場します。しかし、「フーコーの振り子」は単なる歴史小説ではなく、歴史とフィクションが巧みに織り交ぜられた、知的エンターテイメント作品として楽しむことが重要です。歴史的背景や登場人物のモデルとなった人物について調べてみることで、フィクションの世界をより深く理解することができます。
「フーコーの振り子」は、一度読んだだけでは全てを理解することは難しいかもしれません。しかし、焦らずに自分のペースで読み進め、謎解きを楽しむことで、この作品が持つ奥深い魅力に気づくことができるでしょう。